妊娠線にアロママッサージ
リラックスや集中力アップのために取り入れている人も多いアロマ。でも、アロマは単に気分に作用するだけではないそう。今やアロマは、産婦人科分野はもちろんのこと、小児ケアやターミナルケア、介護の現場などでも使われはじめている“第三の医療”。成分の分析も進み、科学的効果も実証されているのです。
今回は、プレママに人気のアロマ教室に参加し、妊娠線予防のためのアロマオイルの作り方や、マッサージ法を学んできました!
取材協力・監修
助産師・マタニティアロマセラピスト 浅井貴子さん
新生児訪問指導歴約20年以上のキャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行うほか、母親学級、マタニティースイミング、アクアビクスのコーチとしても活躍。最近では、タレント・大島美幸さん(森三中)のアロマ指導をしたことでも知られる。病院勤務時代、プレママのむくみや腰痛、肩こりなどの悩みに対して「妊娠中だからしょうがない」「出産すれば治るからがまんしましょう」としか言えない医療の限界に直面。残念そうな表情を浮かべていたプレママたちを笑顔にしたいと志し、13年前から『プレママ★アロマ教室』を主宰している。
これが妊娠線だ!
「妊娠線、絶対できたくない…」
「妊娠線って一生消えないってホント!?」
お腹が大きくなってくるにつれ、気になるのが妊娠線のこと。
かつて妊娠線は、「母になった勲章」なんて言われたりもしましたが、そんな勲章、できればほしくないですよね。
東京・調布市で開催されている『プレママ★アロマ教室』にも、そんなプレママたちが大勢参加していました。
「妊娠すると、お腹や太もも、乳房などが急激に大きくなりますが、その伸びに、表皮の下にある真皮(しんぴ)がついていけなくなり、組織が裂けてしまう。それが妊娠線です。とくに後期に入ると、赤ちゃんの頭や肩がある下腹部、特におへそより下の、地球儀でいうと南半球の部分がぐぐーっと伸びてくるので、妊娠線ができやすくなるのです」というのは、講師の浅井貴子先生。
★妊娠線ができやすいタイプ
- 乾燥肌の人
- 高齢妊娠(とくに40代)
- 体重オーバー
- 急激な体重増加
- 多胎妊娠
- やせタイプ
- 冷え性
これが妊娠線!
「乾燥肌だったり、年齢を重ねてくるとどうしても潤いが減ってきます。また急激に体重が増えたり、多胎で人一倍大きいお腹だったりするのも、皮膚がその伸びについていくのがたいへん。逆に痩せすぎで肌に栄養が届いていなかったり、冷えで血流が悪かったりするのも、肌の弾力が失われて、ひび割れ、妊娠線の原因になります」
妊娠線には、白っぽい線と、赤い線でかゆみがある場合とがあるといいます。
「とくに赤いほうは跡になりやすいので、そうなる前にしっかり保湿して、やわらかく伸びのいい皮膚にしておきましょう」(浅井先生)
妊娠線予防にいいのはオイル?ローション?
「妊娠線のケアをしている人は、何を使っていますか?」
参加者の半数くらいはオイル、残りはローションか乳液に手が上がりました。
「昔はたしかにローションが多数派だったんです。でも今は、妊娠線予防には断然、オイルがおすすめです。最近は"オイル美容"も人気です。オイルで皮膚にフタをして乾燥を防ぐことで、皮膚をやわらかくし、さまざまな刺激から皮膚を保護できる、とわかってきたのです」(浅井先生)
オリジナルのアロマオイルを作ってみた!
「さあ、では妊娠線予防のアロマオイルを作りましょう。ベースになるオイルに、精油(エッセンシャルオイル)を加えます。精油は、皮膚を柔軟にしたり、炎症を鎮めたりする働きのあるものを肌に合わせて選びます」(浅井先生)
肌に特に何も問題がない人は「普通肌」、化粧品がピリピリしみてしまう人は「敏感肌」、炎症やかゆみが出ている人は「トラブル肌」。ひとりひとり自分にあったマッサージオイルをブレンドしていきます。
ベースになるオイルはスクワランオイル。人間の皮脂膜にもある天然のオイルで、ほかにスイートアーモンドオイル、グレープシードオイルなどでもOK。ただし、食用でなくマッサージ用で、100%天然のものを使用しましょう。
浅井先生オリジナル 妊娠線予防アロマレシピ
普通肌用
- パルマローザ・・・3滴
- マンダリン・・・3滴
(またはネロリ1滴) - スクワランオイル・・・30ml
皮脂のバランスを整えるパルマローザ、かたい皮膚を柔軟にするマンダリン(または色素沈着を防ぐネロリ)を加えたレシピです。
敏感肌用
- 真性ラベンダー・・・1滴
- フランキンセンス(乳香)・・・2滴
- スクワランオイル・・・30ml
鎮静効果がありリラックスにもいい真性ラベンダーと、若返りやシワ肌にいいフランキンセンスを加えたレシピです。
トラブル肌
- カモミール・・・3滴
- ゼラニウム・・・3滴
- スクワランオイル・・・30ml
炎症やかゆみを鎮めるカモミールと、皮脂のバランスを整えるゼラニウムを加えたレシピです。
マッサージをやってみよう
さあ、作ったばかりのオリジナルストレッチマークオイルで、さっそくマッサージをやってみましょう。
「椅子には浅めに腰かけます。背中を背もたれにつけて、お腹をつき出すようなポーズを取ってください。今日は、上着をたくしあげて洋服がオイルで汚れないようボトムスにタオルを挟んでください。ご自宅で行うときは、お風呂あがりに裸で行うのが一番いいですよ」(浅井先生)
姿勢はこんな感じ。参加しているプレママさんたち、次々に上着をたくしあげてお腹を出します。臨月間近の迫力満点のお腹も!みんな幸せそうです。
「お腹の上からマッサージするよーっ、て、赤ちゃんに語りかけてあげてから始めてください。きっと赤ちゃん、聴こえてますからね」
マッサージの手順
オイルを温める
ティースプーン1杯分くらいのオイルを手に取り、両手のひらで軽くこすりながら、オイルを温めます。すると、ふっとオイルが軽くなり、ふわ~っとアロマの香りが立ち上がります。そのときが、塗りどきです。オイルは温めると浸透力が上がるのです。
お腹に「の」の字を描く
「ではまず右手で、胸の下からお腹の外側をぐるーっと通り、おへそへ向かって、"の"の字を描きます。ぐる、ぐる、ぐるーっ。そうそう、ゆーっくりですよ」
胃のあたりからお腹の外側をぐるーっと通って、おへそへ。4~5秒くらいかけてゆっくりと「の」の字を描いていきます。
左手も同様に、くる、くる、くるーっ。お腹全体にオイルをやさしく広げていきます。
下腹部をくるくるマッサージ
手のひらに、再度ティースプーン1杯分のオイルをとり、手を合わせてやさしくこすり温めます。
「次は、いちばん妊娠線ができやすい下腹部にオイルを浸透させていきます。オイルを人差し指・中指・薬指・小指の四本の指につけ、下腹部の両脇から正中線(お腹の真ん中の線)へ向かって、くる、くる、くる、くる、と、小さな円を描きながら皮膚をマッサージしていきます」
3~4秒ほどかけて、くる、くる、くる、くる…。5回ほど繰り返します。
「肌が乾燥していると、すぐにオイルが浸透し、手のひらのオイルがなくなります。すべりが悪くなったらオイルを足してください。皮膚を必要以上に摩擦しないこと。切迫早産ぎみでお腹をあまり刺激したくない方は、特にたっぷりとオイルを使って、皮膚を温めるような感じでやさしくやさしく撫でてください」
腹式呼吸で横さすり
再びオイルを手のひらに広げて温めます。下腹部のおへその下に手をあて、今度は腹式呼吸をします。
「すーっ…鼻から息を吸って、両手を両脇へすっと引きます。ふーっ。口から息を吐きながら、両手をおへその下へ集めます。呼吸はお産で必ず使います。急にやろうとするとパニックになっちゃうので、マッサージをしながら練習しておきましょうね」
すーっ。鼻で吸いながら、両手を引く。
ふーっ。口で吐きながら、両手を中心へ集める。これを5回くらい。
腹式呼吸でハートを描く
最後に、お腹にかわいいハートマークを描きます。
「指を広げて、おへその下からお腹の下に向かってハートを描きます。ここでも腹式呼吸を使いましょう。鼻ですーっと吸いながら両手をおへその下からお腹の上、肋骨あたりまで引き上げ、口でふーっと吐きながら、くるんとハートの形にしあげます」(浅井先生)
すーっ、で、ひきあげ、ふーっ、で、くるん。これも5回くらい。ハートを描くたびに、赤ちゃんへの愛情が湧いてくるよう!
パートナーにもマッサージをやってもらおう
妊娠線はお腹にだけできるわけではありません。急激にサイズが大きくなる乳房、太もも、ヒップや腰まわりも要注意!なかなか保湿ケアが行き届かない場所なので、皮膚が乾燥して妊娠線ができやすくなっています。
「腰やヒップは手が届きにくい場所。ぜひパートナーに協力してもらいましょう。陣痛が始まると、腰をさすってもらうなどパートナーに協力してもらう場面がたくさんあります。体にさわることにお互いが慣れておく、という意味でも、妊娠中にマッサージをしてもらうのは大切なことなんですよ」
それでなくともスキンシップが減りがちな妊娠期。お互いの肌の温かさを感じることで、ストレスの緩和にもつながる、と言います。
椅子に後ろ向きに腰かけて、パートナーは手のひらにオイルを広げます。尾てい骨から腰・ヒップを包むこむように撫で上げてマッサージ。軽い力でさすってもらうだけでも、すっごく気持ちいい!
「パートナーの手を"温かい"と感じた人は、ヒップや腰が冷えている証拠です。オイルをつかってしっかりと温めてあげてくださいね。妊娠線を予防できるだけでなく、腰痛の緩和にもなります」(浅井先生)
妊娠線のケアは、妊娠中期から出産直前まで行えます。お腹が大きくなる前から肌に潤いを与え、柔軟性を増して備えておきたいですね。
- ※精油は100%天然でもアレルギー反応を起こすことがあります。心配な場合はパッチテストをしてから使いましょう。
取材協力・監修/助産師・マタニティアロマセラピスト 浅井貴子さん
update : 2015.09.02
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