マタニティ・フラ【新マタニティスポーツ】
ゆる〜いハワイの音楽にのって、ゆらり、ゆらり、体を動かすフラ。いかにもストレスフリーで癒されそうだけど、意外にも運動負荷は高く、しっかり体を動かせちゃうんですって。たっぷり汗をかくことができる、スポーツとしての楽しさはもちろんだけど、どうやらフラの魅力はそこじゃないらしい…!? マタニティ&子連れOKのスタジオIRISで、フラの初歩の初歩にふれてみました。
取材協力・監修
NORIさん
国立音楽大学卒。リトミックを専攻し、音楽の身体的な表現を学ぶ。卒業後はフラワーアーティストとしてフランスでディプロマを修得し活躍。30代の出産を機にフラに出会い、魅了されたことをきっかけに、自宅スタジオ(東京都江東区)を構えてフラ・サロンを主宰する。2010ミスアロハフラ、マヘアラニ・ミカ・ヒラオ・ソレムに師事。
意外にハード! なのにハマる! 「フラ」の魅力って?
ゆったりと流れるハワイアンミュージック。う~ん、いかにも、そこにいるだけで癒されそう! 重くてツライ妊娠中の体の悩みも、ゆらゆらと体を動かしている間に吹き飛んじゃいそうです。
「と、思うでしょう? でもね~、フラって意外にハードなのよ~。1曲踊り終わると、いい汗かけますよ~(笑)」
笑いながらそう答えてくださったのは、東京都江東区、西大島にあるスタジオIRISのNORI先生。
そ、そんな。キツイんですか…。それは…ムリかも…。
「う~ん。でも、フラって、本当に気持ちいいの。私は産後に初めてフラに触れたのだけど、マンションの一室のスタジオで、子連れでザワザワしていたというのに、その空間に雄大な大地を感じたの。心地よい真っ青な空、太陽、山、風…。息はあがっちゃっていたけど、すばらしく気持ちがよくてね(笑)。この不思議な感覚にハマる人がすごく多いんですよ」
フラとは、ハワイ語で「踊り」のこと。手や腰の動きひとつひとつに意味があり、花や雨、波などを踊りで表現しながら、自然と自分がひとつになっていきます。
「もちろん基本の動きやステップはあります。でもね、それをマスターすることに必死になるよりも、私は“そのものになる”というフラの本質を楽しんでもらいたいと思っています。鳥の動きをするときは、鳥になったように。風の動きをするときは、風になったように。自我を捨て、個であることを超え、すべてのものと一体になると、心がどんどん解放されていきますよ」
ちゃんと出産できるのかしら…。ちゃんと子育てできるのかしら…。産後の仕事はどうしようかな…。夫は協力してくれるのかな…。
妊娠中は心配ごとが多く、いろいろと考えてしまいがち。でも、子どもを宿す、お腹で命を育むという、生き物として根源的な状態にある妊娠中だからこそ、自然と一体になって、生命の営みに身をゆだねる時間が必要なのかもしれません。
「妊娠したときから育児は始まっていると私は思うんです。いかに妊娠期間中におだやかに過ごせるかというのが、その後の子育てにとても深くつながっている。そのことに気づいてほしいし、感じてほしいと思って、マタニティクラスを始めたんです」
筋力をアップして 産後に備えて体づくり
教室によってはマタニティNGになっていることもあるフラ。でも、NORI先生のサロンには、マタニティ専用クラスがあるほか、普通の子連れOKクラスにも妊娠中の生徒さんがチラホラいます。
そもそも、妊娠した体でフラはやってもいいものなの? 腰をひねったり、ねじったり、体に負担がかかりそうだけど…。
「お腹が張りやすいなどの理由で運動が禁じられている方はNGですが、出産間際まで通っていただけますよ。うちのサロンは産後にフラに出会って、その後二人目や三人目を妊娠されたという方がほとんどですが、フラ経験者は基礎が入っていますので、無理な動きをすることなく踊りに集中できますね」
フラで大切なのは、体幹(コア)。いくら手などで美しい所作をしていても、体幹がふらつくと、美しい動きにはならないそうです。
「腰や骨盤に負担がかかりそうに見えますが、フラは正しい姿勢でないと美しい動きに見えないので、自然に背筋が伸びて体のラインが美しくなります。そして、下半身がかなり鍛えられます(笑)。妊娠出産で落ちてしまいがちな足の筋肉を、しっかり維持できますよ」
生徒さんたちも、「太ももが特にクル!」「後ろ姿がすっきりしてきた」と口々に……。
子連れでできるから、 産後も楽しめる
最近、少しずつ増えてきた子連れOKフラ。
赤ちゃんを産むとどうしても出かけるところが少なくなってしまいますが、体を動かせる場所を妊娠中に知っておくと、産後の疲れた体をリフレッシュすることができます。
NORI先生のサロンも、多くの生徒さんたちがママ! 取材に伺った日は、お子さんを抱っこしながら踊りに集中するママ、泣いてる赤ちゃんに授乳をするママ、眠ってしまったお子さんをそっと寝かせるママ…。みんな自然体で、和気あいあいとしたムードがすてきです。
「このスタジオを立ち上げたのは、フラをやりたかったからじゃないんです。私が大切にしているのは、アロハ。アロハを日本語でいえば“愛”なんですが、女性たちが集って、ひとりひとりが輝くことができる、そんなアロハを感じられるコミュニティを作りたいなって思っているんですよ」
そんな愛にあふれたNORI先生から、ステキなアロハを届けるダンスを教えていただきました。まずは動画でご覧ください。
難しそうですが、次に紹介する基本ステップと、手の動きをマスターすれば、優雅に踊れるようになります。お腹の赤ちゃんへの愛を感じながらやってみましょう!
基本のステップ 「カオ」と「カホロ」
レッスンI
「カオ」は、立ったその場から位置を動かずに、両膝を交互に曲げながら体重移動するステップです。
まずは足を肩幅にひらき、肩を後ろへひき下げて立ちます。
最初の一拍で、体重を左足へ移動し、右足のかかとを2/3ほど上げます。このとき、肩は水平をキープします。
つぎの一拍で、右足のかかとを下ろしながら重心を右足に移動して、左足のかかとを上げます。
3拍目はまた左へ、4拍目はまた右へ。1拍ずつ重心を移しながら、ゆっくりと腰を揺らします。無限大∞の字を描くように腰を動かすとスムーズです。
「カホロ」は、「カオ」しながら左右に2歩ずつ移動するステップです。
1拍、2拍で、右へ2歩移動します。
3拍、4拍で元に戻ります。
次の1拍、2泊で、こんどは左へ移動します
3拍、4拍で、元の位置に戻ります。
音楽はyoutubeなどで、ゆったりとしたハワイアンミュージックを探しましょう!
踊りで「アロハ」を 表現してみよう レッスンII
1拍、2拍で右腕をスーッと伸ばし、お花へ手を差し伸べます。目線は指先のはるか遠くを見て。
3拍、4拍で手のひらを返し、「お花」のポーズを作ります。
左手も同様に、2拍でスーッと伸ばし、2拍で「お花」をつくります。
そのお花を天にかかげて
かぐわしい花のレイを首にかけます。
左手を斜め前へ伸ばし、右手の香りをそっと嗅ぎます。このとき、手首は曲げずにまっすぐをキープ。肘だけを動かします。花の香りを嗅ぐつもりで、本当に鼻から息を吸いましょう。
反対側も同様に。右手を斜め前へ差し出し、左手の香りを嗅ぎます。
そのまま両手のひらをデコルテに集めてきて、唇の前へ。
投げキッスをするように、大切な人へ愛を届けましょう。
「一面に咲くお花をつんで、美しいレイをつくって首にかける。かぐわしい香りにつつまれながら、あふれんばかりの愛をあなたに集めて、大切な人へ届ける、というストーリーです」
ゆるやかなハワイアンミュージックに乗せてやってみると、ほんわりとあたたかな感情が胸にわきおこってくるから、不思議。「踊る手話」ともいわれるフラのエネルギーで、妊娠中のブルーなきもちもほっこりと癒されそうです!
取材協力・監修/studio IRIS代表・フラ教室講師・NORIさん
update : 2016.12.07
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